「あゆみ」
8.点字教室 (その1)
視覚障がい者・晴眼者合わせて10数名のメンバーで京都盲人福祉研究会(略称・盲福研)を発足した。
市民への啓発を目的とするならば、とにかくメンバーをもっと増やさなければならない。
その有力な手掛かりとして始めたのが「点字教室」である。
1971年当時は、点字図書館などでは点訳ボランティアを養成していたが、一般市民向けの点字講習などは無かった頃である。
毎週・水曜日の夜6時から8時までライトハウスを会場にスタートした。
点字使用者であるというだけで教える立場となったが、特に専門的な知識をもっている訳でもなく「点訳の手引き」を手本として、自らにも学習の場となった。
さて、果たして受講者が現れるのか?それが気がかりであった。日誌をくってみると、最初の数カ月はほとんど誰も来ずスタッフ数名が手持無沙汰な時間を送っていたようだ。しかし9カ月後には、17名の受講生となり賑やか。この人たちが仲間になってくれたら!との記録がある。
今時ならちょっと考えにくいが、大学生・看護学生・高校生、それに勤め帰りのOLや主婦の方など、受講生は徐々に増え、会場は常に30人前後の参加者で満席となった。
点訳をしたいという人がこれだけおられるなら、行政が手助けするような体制があって良いのではないかとの考えに至った。そこで、水曜点字教室・第1号受講者のNさんと共に、Nさんの知人である市会議員に京都市開催の講習会実施を検討いただきたいと申し出た。そのことが直接の要因になったとも思えないが、ほどなくして市委託の点訳講座が当事者団体やライトハウスの主催で開催されるようになった。